唾液が減ると・・・なぜ減るか・・・・

2019.04.30

鹿児島市谷山中央にある谷山ファミリー歯科クリニックの永田です。

前回は、唾液の働きについて考えてみましたが、今回は唾液が減少するとどうなるのか、
どうして唾液が減少するのかについて考えてみたいと思います。

お口の中が乾燥することにより、「口が渇く」ことは、一時的なこともありますが、
慢性的なものは「ドライマウス(口腔乾燥症)」という疾患であることは、前回触れ
ました。では、「口が渇く」、口腔乾燥のサインとしては下記の症状がみられます。
①口の中がカラカラする。②口唇が乾く。③水がないと食べ物が食べられない。
④話しづらい。⑤口唇や口角が切れやすい。⑥水を常に持ち歩く。⑦口内炎が
できやすい。⑧舌がヒリヒリする。⑨口の中がネバネバする。⑩舌が乾燥する。
⑫舌にみぞがある。

唾液の量が減ると、お口の中の乾燥感やねばつき、話しづらさ、乾いた食べ物の
噛みづらさなどを感じやすくなります。しかし、自分のお口の中が、乾燥しているのか
どうかは分かりにくいです。上記①~⑫の症状を日常的に感じるようでしたら、
乾燥している可能性が高いです。
唾液の量が減ると、お口の中の洗浄作用が弱くなり、食べ物がお口の中にいつまでも
とどまってしまいます。また、唾液の緩衝作用も弱まることで、飲食物によって下がった
pHがなかなか元に戻らなくなり、エナメル質の脱灰作用が進み、むし歯になりやすく
なります。さらに、唾液の量が減ることにより、唾液に含まれる抗菌物質が減少し、
歯周病のリスクも高くなってしまいます。

それでは、どうして唾液が減るのでしょうか?
唾液は、唾液腺でつくられますが、自律神経からの指令が唾液腺に伝わり、血液を元に
つくられます。なので、唾液が減る原因は、自律神経の問題、唾液腺の問題、血液の量の
問題などさまざまで、1つだけではありません。お薬の副作用で口渇(お口の渇き)が
みられる場合もありますが、口腔乾燥がみられるとのことで、自己判断で服用を中止
するのは危険ですので、必ず主治医の先生に相談してください。

唾液が分泌される過程を、工場での製品加工に例えてみると、唾液を作る工場が
唾液腺といえます。この工場で、材料である血液から唾液という製品がつくられます。
さらに工場を動かす指令を出す「司令部」の抑割を自律神経が担っており、工場の
稼働状況と材料を工場に運ぶ量を調整しています。
唾液が少なくなる原因は、唾液腺が傷んでいる、自律神経のバランスが乱れている、
血液をうまく運べていないといったことが考えられています。原因の特定には、
唾液量の測定、唾液腺の画像診断、血液検査などの検査が必要となります。

一 覧