歯科治療と高血圧症

2022.09.05

谷山ファミリー歯科クリニックの歯科医師、永田紳吾です。

今回は高血圧症と歯科治療の関係について考えてみたいと思います。

私たちのからだのなかでは、心臓から全身へと血液が送り出されています。
血液の通路となっている管が血管です。
このとき血管の壁には流れてきた血液により圧力がかかります。これを血圧と言います。

 

よく血圧は、「上」だとか「下」だとかという言い方をしますが、「上」は心臓が縮んで血液を送り出した時の「収縮期血圧(最高血圧)」で、
「下」は心臓が広がった時の「拡張期血圧(最低血圧)」のことです。

血圧の値のうち、上の血圧が140mmHg以上の場合、または下の血圧が90mmHg以上の場合、あるいはこれらの両方を満たす場合に高血圧と診断されます。
自宅で測る家庭血圧の場合は、診察室よりも
5mmHg低い基準が用いられます。

血管にかかる圧力が大きい状態(高血圧)をそのままにしておくと、脳や心臓への負担となります。
高血圧症は脳卒中(血管が詰まったり破れたりすることによって脳が障害を受ける病気。脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)を起こし、
死に至る可能性もあります。高血圧症の患者さんは約4300万人いると推定され、日本人のおよそ3人に1人は高血圧症と言われています。
高血圧症を起因とする脳卒中や心疾患により1年で10万人が死亡していると推測されています。

歯科治療と高血圧はどう関係があるのでしょうか。
「白衣性高血圧」という言葉をご存知でしょうか。

家で血圧を計ると高くないのに、病院で血圧を計ると高くなる。
そんな経験をされたことはありませんでしょうか。

血圧は緊張したりストレスを感じたり、痛みを感じたりすると高くなります。
これを「白衣性高血圧」といいます。白衣性高血圧は普段血圧が高くない方でも起こります。

歯科医院では椅子に横たわったときや、麻酔の注射のとき、抜歯のときなど
緊張やストレス、痛みを感じることがあるため歯科医院では特に血圧は上がりやすい

血圧が高くなりすぎると、血管への圧力が上がり、パンパンになった血管が破れて脳出血(高血圧脳症)を起こしてしまうことがあるのです。
こうなると救急搬送が必要になり、死に至る可能性もあります。

そのようなことを防ぐために、高血圧症をお持ちの方は必ず問診票にご記入していただくか、直接歯科医師にお伝えください。
高血圧の方は血圧や血中酸素濃度などを計りながら治療を行うこともございます。お薬手帳も忘れずにお持ちください。

安全に歯科治療を受けたいただくためにご協力をよろしくお願いいたします。

疑問に思ったことや気になったことがあればお気軽に歯科医師またはスタッフまでお気軽にお声がけください。

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