【院長活動報告】ライオンズクラブにて講演「たかが乳歯・されど乳歯」〜地域で伝える子どもの歯の大切さ〜

2017.08.11

鹿児島市谷山中央にある谷山ファミリー歯科クリニック院長の永田です。

日頃より当院のブログをご覧いただき、ありがとうございます。今回は、先日私が行ってきた地域での活動についてご報告いたします。

8月9日(水)の診療後、「鹿児島南ライオンズクラブ」の例会にお招きいただき、会員の皆様に向けて「たかが乳歯・されど乳歯」という演題でほんのちょっとしたお話(卓話)をさせていただきました。

出席されていた地域のリーダーである皆様が、非常に真剣な眼差しで耳を傾けてくださり、歯科医師として大変嬉しく、有意義な時間を過ごすことができました。

今回は、講演でお伝えした「なぜ、いずれ生え変わる乳歯の治療や予防がそれほどまでに重要なのか」というエッセンスを、ブログの読者の皆様にも分かりやすく共有させていただきます。

  1. 講演で訴えた「たかが乳歯・されど乳歯」の真意

「子どもの歯(乳歯)はどうせ大人の歯(永久歯)に生え変わるから、少しくらいむし歯になっても放っておいて大丈夫」

悲しいことに、世間ではまだこのような誤解を持たれている方が少なくありません。しかし、歯科医学の視点から見れば、これは絶対にやってはいけない大きな間違いです。

〇 乳歯の下では、すでに「未来の永久歯」が育っている

お子様のお口の中が見かけ上は「乳歯」しか並んでいない時期であっても、実は顎の骨の中では、次に生えてくる出番を待っている「永久歯」が着々と作られ、成長しています。

もし乳歯が重度のむし歯になり、根っこの先まで細菌感染が広がってウミが溜まってしまうと、その真下で育っている永久歯の卵にダイレクトに悪影響が及びます。新しく生えてくる永久歯の表面が生まれつき変色してしまったり、歯の質がもろくなってしまったりするリスクがあるのです。

〇 乳歯の早期脱落が、将来の歯並びを狂わせる

乳歯には「次に生えてくる永久歯の場所を案内する(スペースを確保する)」という、大切な道標(ガイド)の役割があります。 むし歯が原因で、適切な時期よりも大幅に早く乳歯が抜けてしまうと、両隣の歯が空いたスペースに向かって倒れ込んできてしまいます。その結果、永久歯が生えてくる隙間が狭くなり、八重歯になったり、ガタガタの歯並びになったりして、将来的に大規模な矯正治療が必要になるケースが非常に多いのです。

  1. むし歯は「自然治癒」しない!心身の発達に及ぼす影響

もう一つ、強くお伝えしたのが「むし歯は決して自然に治ることはなく、放置すれば徐々に、かつ確実に進行する」という厳しい現実です。

子どものむし歯を放置して重症化させ、強い痛みが出るようになると、お口の健康だけに留まらない深刻なトラブルへと発展します。

  • 硬いものが噛めなくなる(咀嚼機能の低下): 歯が痛むと、子どもは無意識に痛まない側で噛んだり、噛まなくて済む柔らかいもの(うどんやパン、お菓子など)ばかりを食べたがったりするようになります。
  • 心身の発達への悪影響: 成長期のお子様にとって、栄養をバランスよく摂取することは身体と脳の発育に不可欠です。しっかり噛めないことで消化吸収が悪くなったり、栄養が偏ったり、あるいは「食べる楽しさ」を損なってしまうことは、お子様の心身の健やかな発達に大きな影を落としかねません。

「たかが子どものむし歯」と侮ることは、お子様の未来の健康の可能性を狭めてしまうことにも繋がりかねないのです。

  1. 子どものむし歯予防と早期治療に関するよくある質問(FAQ)

ライオンズクラブの皆様や、子育て中の親御様からよく寄せられる疑問にお答えします。

Q1. 子どものむし歯を早く見つけるために、家庭でできることはありますか?

A1. 毎日の「仕上げ磨き」のときに、歯の表面の色や形を注意深くチェックしてください。 子どものむし歯は、最初は「歯の表面がプラスチックのように不自然に白くなる(初期むし歯)」ことから始まります。その後、茶色くなったり穴が空いたりします。特に上の前歯の根元や、奥歯の溝、歯と歯の間はむし歯になりやすいため、明るい光の下で観察する習慣をつけましょう。

Q2. 歯医者さんに行くのを嫌がる子どもには、どう対応すれば良いですか?

A2. 「痛くなってから行く」のではなく、「痛くないとき(定期検診)」から通い始めるのが一番です。 痛くなってから来院すると、どうしても削るなどの治療が必要になり、歯医者さんへの恐怖心が強くなってしまいます。何もないときからフッ素塗布やクリーニングなどで通っていれば、「歯医者さんは気持ちいい場所、褒められる場所」と認識でき、万が一むし歯が見つかってもスムーズに治療を受けられるようになります。

Q3. 歯磨きをしていれば、本当にむし歯は防げますか?

A3. 歯磨きは基本ですが、「おやつの与え方(食習慣)」を整えることが同じくらい重要です。 どんなに丁寧に磨いていても、ジュースをだらだら飲んだり、アメやチョコレートを頻繁に口にしたりしていると、お口の中が常に酸性に傾き、むし歯を防ぎきれません。「おやつは時間を決めて、しっかりメリハリをつけて食べる」という習慣をご家族みんなで守ることが最大の予防になります。

  1. まとめ:地域全体の「お口の健康」を守るために

今回の講演を通じて、出席された会員の皆様が熱心にメモを取り、真剣に私の話を聞いてくださる姿を見て、本当に嬉しく、身が引き締まる思いがいたしました。皆様のご家庭やお孫様、そして周囲の方々へ「歯の大切さ」が優しく伝播していくことを願ってやみません。

私たち歯科医師にとって、クリニックの中で目の前の患者様を丁寧に診療することはもちろん最も大切です。しかし、それと同時に、こうして地域社会に飛び出して、健康の土台となる「歯の大切さ」を正しく訴え、啓発していくことも、我々に課せられた重要な責務(ミッション)だと改めて痛感いたしました。

厚生労働省や日本歯科医師会が掲げる健康指針でも、乳幼児期からの適切な口腔ケアが、生涯にわたるQOL(生活の質)の維持や生活習慣病の予防に直結していると示されています。

当院はこれからも、地域の皆様の「かかりつけ歯科医」として、お子様からご高齢の方まで、皆様が一生おいしく食べ、笑顔で暮らせる街づくりに貢献してまいります。お子様のお口のことで少しでも気になることや、ご自身の定期検診のご希望など、いつでもどうぞお気軽にご相談ください。

 

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