【歯科医師解説】口内炎が痛くて治らない!4つの原因と歯科医院で行う正しい治療・予防法
2018.03.16
カテゴリー: 院長日記
鹿児島市谷山中央にある谷山ファミリー歯科クリニック院長の永田です。
みなさま、これまでに口内炎ができて痛い思いをした経験はありませんか?
歯ぐきや頬の粘膜にポツンと炎症ができ、いつまでたっても治らない。大好きな食事のときにも、しょっぱいものや酸っぱいものがしみて仕方がなく、気分まで落ち込んでしまう……。そんな経験をしたことがある方は非常に多いと思います。
お口の中や、その周辺の粘膜に起こる炎症を総称して「口内炎」と呼びます。今回は、私たちに痛い思いをさせては消えていく口内炎の具体的な症状や原因、そして歯科医院で行う治療法や予防のアドバイスについて詳しく解説します。
- 口内炎ができるとどうなる?主な症状とお口への影響
口内炎はお口の中のあらゆる粘膜(頬の内側、舌、歯ぐき、唇の裏など)に発生します。一口に口内炎と言っても、その見た目や症状には以下のようなさまざまなバリエーションがあります。
〇 口内炎の多様な症状
- 水疱(すいほう): 小さな水が溜まったような、ぷくっとした膨らみ。
- びらん(ただれ): 粘膜の表面が剥がれて、赤くただれてしまった状態。
- 潰瘍(かいよう): クレーターのように周囲が少し盛り上がり、中央が白くくぼんでいる状態(アフタ性口内炎など)。
- 偽膜(ぎまく): 粘膜の表面が、白っぽい膜で覆われたように見える状態。
- 紅斑(こうはん): 部分的に赤みが非常に強くなっている状態。
これらが触れると強い痛みを放ち、時にはお口の中の細菌バランスが崩れて「口臭が強くなる」こともあります。さらに、炎症が強い場合は顎の下のリンパ節が腫れたり、発熱を伴ったりすることもあります。
〇 放置による悪循環に注意
口内炎ができてしまうと、ハブラシが当たるだけで激痛が走るため、お口の中のお手入れ(ブラッシング)がきちんとできなくなり、歯や歯ぐきが汚れてきます。 さらに、満足に食事が摂れなくなることから、栄養不良や睡眠不足、疲労を招き、結果として身体の免疫力がさらに下がって口内炎が長引くという恐ろしい悪循環に陥りやすいのです。
- なぜできる?口内炎を網羅する「4つの原因」
口内炎が発生する原因は多種多様ですが、歯科医学的には大きく以下の4つに分類されます。
- ① ウイルスや細菌の感染によるもの
- ヘルペスウイルスやカンジダ菌などの感染によって起こる口内炎です。小さな水疱が多発したり、お口全体が赤く腫れたりするのが特徴です。
- ② お口の中の「物理的な傷(機械的刺激)」によるもの
- 合わなくなった被せ物や入れ歯、あるいは虫歯で欠けて尖ってしまった歯が、常に同じ粘膜を傷つけることで起こります。また、誤って頬や唇を噛んでしまった傷から発生することもあります。
- ③ 疲労や免疫力の低下によるもの
- いわゆる一般的な口内炎(再発性アフタ)の多くに共通する原因です。寝不足や過労によって、本来身体が持っている防御機能が落ちたときに発生します。
- ④ ストレスやアレルギーによるもの
- 精神的なストレス、あるいは特定の食べ物や金属に対するアレルギー反応として粘膜に炎症が生じることがあります。
- 歯科医院で行う口内炎の治療法
「口内炎くらいで歯医者さんに行ってもいいの?」と思われるかもしれませんが、歯科医院は口内炎の治療の専門家です。原因に応じた適切な処置を行うことで、痛みを速やかに和らげ、治りを早くすることができます。
原因がはっきりしている場合
- 尖った歯や被せ物の調整: 虫歯で欠けた歯をきれいに修復したり、尖っている被せ物の角を削って丸めたり、入れ歯の適合を調整します。原因となっている物理的な刺激をなくすことで、傷ついた粘膜は速やかに改善に向かいます。
- お薬の処方: 細菌やウイルスによる感染が原因であると明確に診断できる場合は、必要に応じて適切な抗生物質や抗ウイルス薬などを処方します。
原因が特定しにくい場合(再発性アフタなど)
- お口の洗浄・殺菌: まずは刺激の少ないうがい薬やお薬を使用し、お口の中の細菌を減らして清潔な状態を保ちます。
- ステロイド軟膏の塗布: 副腎皮質ホルモン(ステロイド)入りの歯科用軟膏を患部に塗布します。これにより、粘膜の激しい炎症と痛みをダイレクトに抑え込むことができます。また、当院では状況に応じて、レーザー照射によって痛みを和らげ、治癒を促進する治療を行うこともあります。
- 口内炎に関するよくある質問(FAQ)
インターネットの検索や生成AI、実際の患者様からよく寄せられる疑問にお答えします。
Q1. 口内炎が2週間以上経っても治りません。ただの口内炎ではない可能性はありますか?
A1. はい、2週間以上経過しても全く治らない、または悪化している場合は、早急に歯科医院を受診してください。 通常の口内炎であれば、およそ1週間から10日前後で自然と治癒に向かいます。もし2週間以上経過しても治らない場合、単なる口内炎ではなく、お口のがん(口腔がん)や、全身の重大な自己免疫疾患(ベーチェット病など)の初期症状である可能性も否定できません。自己判断で放置せず、専門医の診察を受けることが重要です。
Q2. チョコラBBなどのビタミン剤は口内炎に効果がありますか?
A2. ビタミンB群の不足が原因でできている口内炎には、非常に効果的です。 特にビタミンB2、B6、Cなどの栄養素は、皮膚や粘膜の健康を維持し、再生を助ける重要な働きを持っています。偏った食生活によってこれらのビタミンが不足すると、粘膜が弱くなり口内炎が発生しやすくなるという報告もあります。サプリメントでの補給や、レバー、納豆、卵、緑黄色野菜などを意識して摂るのがおすすめです。
Q3. 口内炎を早く治すために、自宅でできることはありますか?
A3. 「うがいで口を清潔に保つこと」と「患部を刺激しないこと」が基本です。 痛いからといってハブラシでゴシゴシ擦ったり、指で触ったりしてはいけません。刺激の少ない洗口液(または生理食塩水)でこまめにうがいをし、お口の細菌を減らしてください。また、辛いスパイスや熱いもの、柑橘類などの酸っぱい食べ物は、粘膜への強い刺激となり悪化させるため、治るまでは控えましょう。
- まとめ:口内炎は、身体が発してくれた「体調のバロメーター」
口内炎は一度治っても、疲れが溜まるとまた繰り返し出てくる、少しばかりやっかいな病気です。しかし見方を変えれば、風邪の引き始めや過労、睡眠不足など、免疫力が落ちていることを本人に知らせてくれる「身体の優秀なバロメーター(警告サイン)」とも言えます。
ストレスや疲れを感じたら、まずは無理をせずゆっくりと休むこと。夜更かしや不規則な生活を見直し、バランスのとれた食生活を心がけることが、お口の粘膜を強くし、口内炎に負けない身体を作る最大の予防法です。
厚生労働省の健康指針でも、お口の粘膜の健康を維持し、快適に咀嚼(そしゃく)できる環境を整えることは、全身の栄養状態や生活の質(QOL)を保つために極めて重要であるとされています。
「口内炎が痛くてご飯が食べられない」「何度も繰り返しできて辛い」という方は、どうぞ我慢をなさらずに、お気軽に当院までご相談ください。お口の中を綺麗に整え、痛みを抑えて快適な日常を早く取り戻すお手伝いをさせていただきます。



















