う蝕(むし歯)になる人の数は減っているか?ブラッシングが、最も効果的な予防法か?
2022.02.28
カテゴリー: 院長日記
う蝕(むし歯)は減ったとよく言われますが、確かに12歳児のう蝕経験歯数(未処置歯・処置歯・むし歯による喪失歯)の数は
年々減少しています。1970年代をピークに「むし歯の洪水」と言われる時期がり、1975年には12歳児のう蝕経験歯数が5.61本でした。
それが、年々減少し2016年には0.2本になりました。確かに「う蝕(むし歯)は減った」という感じがしますが・・・・、
実は、35歳以上のう蝕経験者の数はあまり減っていません。このことら、う蝕は減ったのではなく、発症年齢が高くなったと
考えられます。また、高齢になっても多くの歯を残せるようになったため、高齢者のう蝕が増えています。
う蝕は、プラーク細菌が作る酸によって歯が溶けていくため、う蝕予防にはプラークを除去するブラッシングが一番効果的だと
考えられてきたものの、その科学的根拠はあいまいでした。
ブラッシングがむし歯予防に最も効果がいいかどうか、多くの国々で検討された結果、ほとんどの研究でブラッシングのう蝕予防
効果が最も高いとは、実証できませんでした。一方、フッ化物の利用とシーラントにはう蝕予防効果が認められ、食事のコントロール
(砂糖摂取制限)の効果も示されました。
ブラッシングに限界がありますが、それは、う蝕の好発部位が小窩裂溝と隣接面、そして充填物の辺縁ですが、このような場所の
開口部は歯ブラシの毛先1本より狭いため、歯ブラシがなかなか中まで届きにくいからです。
毎日のブラッシングでフッ化物配合歯磨剤を使い、定期的に歯科医院でフッ化物歯面塗布を行っていくことが、う蝕予防には
重要です。