喫煙と歯周病~その2~

2018.08.10

谷山ファミリー歯科クリニックの歯科医師永田です。
前回の続きで、喫煙と歯周病について考えていきます。
そもそも、タバコにはどんな物質が含まれているのでしょうか?
タバコの煙の中には、約4000種類の化学物質が含まれており、そのうちの約200種類が
有害物質で、ニコチン、タール、一酸化炭素が3大有害物質と言われています。
その中で、喫煙における薬物依存効果があるのはニコチンです。
タバコをなかなかやめられないのはニコチン中毒だからです。
なぜ、喫煙で歯周病が悪くなっていくのでしょうか?
そのもっとも有力と考えられているのは「ニコチン」です。タバコに対する依存性を作り上げ、
人々を中毒におとし入れる「ニコチン」が、歯のまわりの組織である「歯周組織」でも悪さ
をしていることがわかっています。つまり、タバコの煙の中の成分が、口の中の粘膜や、歯ぐきに
吸収されることで歯周病にかかりやすくなったり、悪くなったりするのです。さらに、喫煙者で
歯周病が重度となり、歯を失っていく傾向は、一日に吸うたばこの本数や、これまで何年喫煙
してきたか(喫煙年数)に比例することがわかっています。つまり、歯が歯周病で抜けていく本数と
タバコの吸い方との間に、明らかな関係があるのです。よって、ヘビースモーカーの方で、
若い頃から喫煙されている方は、とくに歯周病にかからないように、そして悪くしないように、
気をつける必要があります。
あるデータによると、一日10本以上の喫煙で歯周病の危険度は5倍以上になり、
しかも重症化しやすくなるとあります。
さらに、喫煙者は治療を受けても、治療に対する反応が悪く、治りが良好でありません。
例えば、歯周病の手術を受けたとしても、その後の傷の回復状態が悪く私ども歯科医師が
期待しているように治ってくれないのです。
このように、喫煙者の歯周病は非喫煙者と比較して悪くなる傾向にあり、歯周病の治療を行っても
傷口の治り具合が遅くなる傾向にあるということは、喫煙は全身の健康だけでなく、口の中の健康
をも脅かし、そのうえ、歯科の治療効果も十分に上がらず、治療回数や期間、さらに治療費までもが
よけいにかかる原因にもなります。
これらの原因として、タバコの煙の中に潜む有害成分が重要な役割を果たしています。
次回は、喫煙が歯周病を悪化させる理由について考えてみます。

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