酸蝕症とは

2021.05.10

鹿児島市谷山中央にある谷山ファミリー歯科クリニックの永田です。
今回は、「酸蝕症」について書いてみます。

酸蝕症とは、 酸によって歯が溶ける症状をいいます。 「むし歯」は、むし歯菌が、エサである糖を分解するときに作る酸で歯が溶けますが、 「酸蝕症」は細菌が関与しないという点が むし歯と大きく違います。

・スポーツドリンクをよく飲む
・黒酢や柑橘類を健康のために毎日摂取している
・ワインや梅酒を毎晩飲んでいる
・仕事や勉強を、炭酸飲料を飲みながらしている

こんな、ことはないでしょうか。これは、酸によって歯が溶ける「酸蝕症」のリスクが高い習慣なのです。

酸蝕症とは、歯に酸性の飲食物や逆流した胃酸が繰り返し触れることで、起きてしまう疾患です。
歯は酸にとても弱く、酸に触れると溶けてしまうのです。実は、ほとんどの食べ物が酸性なのです。
味噌や醤油も酸性で、毎日、みそ汁をのんだり、醤油を使っても、歯が溶けてなくなってしまわないのは、
唾液が酸を洗い流し、中和して、歯を保護しているからなのです。しかし、唾液の力にも限界があります。
すっぱい飲食物に含まれる強い酸が口の中に繰り返し入ってきたり、逆流性食道炎により胃酸が口腔内に
逆流していると、唾液の力が追い付かず、歯が溶けてしまうのです。
国内の調査では、軽度のものを入れると26.1%、約4人に1人の方に酸蝕症が見られたというデータがあります。
酸蝕症は、現代の食生活や生活習慣と深い関わりのある疾患です。
以前は、季節ものだった柑橘類が一年中手に入るようになり、お菓子や炭酸飲料も簡単に手に入ります。

健康意識の高い方の酸蝕症には注意が必要です。黒酢や柑橘類といったすっぱいものを積極的に摂る健康法は
習慣的に続けてこそよい結果がでると考えられます。酸蝕症は歯が酸に繰り返し過剰に触れることで生じるので、
「健康意識が高い真面目な人ほど酸蝕症になりやすい」という何とも皮肉な現実があります。
こういった健康法をどうしても続ける必要があるのなら、カプセル入りの酢に代えたり、歯になるべく触れないように
ストローで飲んだり、飲んだ後に水をひと口飲むなど、歯をいたわる工夫が必要となります。
酸蝕症を予防するには、現代人が陥りがちな「酸性飲食物の過剰摂取」にまず気づいて止めることが大切です。
酸の摂取は唾液が守ることができる程度に抑えて、体だけでなく、歯の健康にも気を配る必要があります。

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