むし歯がないのに歯が痛む?
2020.01.31
カテゴリー: 院長日記
谷山ファミリー歯科クリニックの歯科医師の永田です。
今回は、見た目には明らかな齲窩(むし歯による穴)がみられないのに
歯の痛みや違和感を感じることについて考えてみたいと思います。
よくあることですが、上の右奥歯か左奥歯のどちらかの歯が痛い
とのことで来院された患者さんの場合、見た目にもむし歯は見当たらない、
レントゲン撮影してもむし歯はない、咬み合わせにも問題なく、歯周病も
痛みを伴うほどではないと診断した場合、考えられるのは上顎洞炎です。
上顎洞炎???・・・・とあまり聞きなれない病名ではありますが、「蓄膿症」や「副鼻腔炎」と言えばピンとくるかもしれません。この疾患は歯科と
耳鼻科の関連性が高い疾患の一つです。
上顎洞炎とは、副鼻腔とよばれる4つの頭蓋骨内の空洞{前頭洞、篩骨洞(しこつどう)、蝶形骨洞、上顎洞}の一つである上顎洞の中の粘膜が炎症を起こした状態のことです。上顎洞は「目」「鼻」「口」によって囲まれた
部分であり、人それぞれ形や大きさが異なりますが、ひとりの人では左右対称な形です。
上の奥歯の根の先が上顎洞に近接していたり、突き抜けている場合、その歯のむし歯や歯周病が原因で上顎洞に感染を起こす事があります。むし歯や歯周病の細菌が歯の根を伝わり上顎洞内に侵入することで炎症を引き起こすためです。これが歯性上顎洞炎です。
逆に鼻から侵入した細菌やウイルスで上顎洞が炎症(副鼻腔炎)を起こすと奥歯やその近辺の歯に症状がでることがあります。歯にはむし歯などの原因がないのに痛みがあるようなら、鼻からきていることも考えなければなりません。