【歯科医師が解説】歯のメインテナンスはなぜ必要?治療後こそ通っていただきたいと思う理由
2018.11.14
カテゴリー: 院長日記
鹿児島市谷山中央にある谷山ファミリー歯科クリニックの歯科医師の永田です。
日々診療をしていると、治療が終わった患者様から「これでしばらく来なくて大丈夫ですよね!」
と聞かれることがあります。
そのお気持ちはとてもよく分かります。
通院は、時間も手間もかかりますし、治療が終わればほっとするのが自然です。
ただ、私は歯科医師として、本当に大切なのは治療が終わったその後だと考えています。
せっかくよくなったお口の状態を、そのまま長く保てたら。
また痛くなってから慌てて受診するのではなく、安心して毎日を過ごせたら。
そのために必要なのが、歯科医院でのメインテナンスです。
今回は、私がなぜメインテナンスを大切にしているのかをできるだけ分かりやすくお話しします。
メインテナンスとは?
私は「治療の続き」ではなく「健康を守る時間」だと考えています
メインテナンスとは、治療によって得られたお口のよい状態を維持し、むし歯や歯周病の再発を予防するための定期的な管理です。
歯科の治療というと、「悪いところを治すこと」が中心に思われがちです。ですが私自身は、治療はゴールではなく、そこから先を守るためのスタートでもあると感じています。
たとえば、むし歯を治して咬めるようになった。
歯周病の治療で歯ぐきの状態が落ち着いた。
それはもちろん、とても大切な一歩です。
でも、そのよい状態を何もしないまま維持できるわけではありません。
私は、患者様のお口を長く守るためには、ご自宅でのケアと歯科医院での定期管理の両方が必要だと考えています。
バイオフィルムとは?
バイオフィルムとは、歯の表面や歯ぐきの境目に付着する細菌の集まりです。
歯周病やむし歯の原因になるもので、見た目には少しの汚れでも、細菌がまとまって強く付着していることがあります。
PMTCとは?
PMTCとは、歯科医師や歯科衛生士が専用の器具を使って行う専門的な歯のクリーニングです。
毎日の歯みがきでは取り切れない汚れを除去し、再発予防につなげていく大切な処置です。
私がメインテナンスを大切だと思う理由
1. 歯周病は「治療したら終わり」ではないからです
私は診療の中で、歯周病は本当に静かに進む病気だと感じています。
強い痛みがないまま悪化することも多く、ご本人が「大丈夫だと思っていた」とおっしゃることも少なくありません。
歯周病は細菌による炎症性疾患で、歯周ポケット内の細菌は、処置後に減少しても12〜16週で元の細菌叢に戻る傾向があるとされています。
だから私は、歯周病治療が終わった患者様ほど、
「ここから先を一緒に守っていきましょう」
とお伝えしたいのです。
痛みが出てからではなく、悪くなる前に防ぐ。
これは、私が患者様にとっていちばんやさしい医療だと思っている考え方です。
2. 初期のむし歯は、早く見つければ削らずに済むことがあるからです
私は、できるだけ歯を削らず、できるだけ歯を残したいと考えています。
一度削った歯は、元の状態には戻りません。だからこそ、早く気づくことに大きな意味があります。
初期むし歯は、歯の表面が白く濁るような変化として見つかることがあります。こうしたう窩のない初期う蝕は、条件によっては削らずに再石灰化や経過観察で対応できるという考え方が、日本歯科保存学会う蝕治療ガイドラインでも示されています。
私は、メインテナンスには
「削る治療を減らせる可能性を高める」
という大切な意味もあると思っています。
3. 歯を長く残すための土台になるからです
スウェーデンの30年研究では、継続的な予防プログラムを受けた方の喪失歯数が0.4本〜1.8本と少なかったことが報告されています。もちろん研究条件が異なるため、すべての方に同じ結果がそのまま当てはまるわけではありません。ですが、私はこの報告からも、定期的な管理の積み重ねの大切さを強く感じます。
歯を失って、初めて歯の大切さを実感される方が少なくありません。
だからこそ私は、今ある歯を守ることにもっと力を注ぎたいと思っています。
4. お口の健康は、毎日の生活そのものにつながっているからです
お口の状態は、単に歯だけの問題ではありません。
しっかり咬めること、会話を楽しめること、自然に笑えること。
そうした日常の当たり前を支えているのが、お口の健康です。
さらに高齢の方では、口腔ケアが誤嚥性肺炎の予防にも関係します。日本訪問歯科協会の報告では、日常的な口腔ケアと専門的な口腔ケアを受けた群で、肺炎発症率が39%、死亡率が約53%低下したとされています。
私は、メインテナンスは「歯を守るため」だけではなく、
その方の暮らしや人生の質を守るためにも大切だと考えています。
ご自宅でのケアと歯科医院のメインテナンスの違い
| 項目 | ご自宅でのセルフケア | 谷山ファミリー歯科クリニックでのメインテナンス |
|---|---|---|
| 主な内容 | 歯みがき、フロス、歯間ブラシ | 専門的クリーニング、歯周チェック、磨き方確認、必要に応じたフッ素塗布 |
| 役割 | 毎日の汚れをためない | 自分では落としにくい汚れを除去し、再発リスクを管理する |
| 強み | 毎日続けられる | 専門的な視点で小さな変化に気づける |
| 難しい点 | 深い歯周ポケットや磨きにくい部位は残りやすい | 定期的な通院が必要 |
| 私の考え | 毎日の積み重ねが土台です | その積み重ねをより確かなものにする時間です |
私は、セルフケアを頑張っておられる患者様ほど、メインテナンスの価値を実感していただきやすいと感じています。
なぜなら、毎日丁寧にケアしていても、それでも届きにくい場所があるからです。
谷山ファミリー歯科クリニックのメインテナンスで私が大切にしたいこと
私は、メインテナンスを単なる「歯のお掃除の時間」にはしたくないと思っています。
患者様お一人おひとりで、お口の状態も、生活習慣も、不安に感じることも違うからです。
そのため当院では、一般的なメインテナンスの考え方として、次のような点を大切にしたいと考えています。
確認したいこと
- 歯ぐきの腫れや出血がないか
- 歯周ポケットの状態が安定しているか
- 磨き残しが出やすい場所はどこか
- 詰め物・被せ物の境目に問題がないか
- 入れ歯が合っているか
- 口腔粘膜や舌に異常がないか
お伝えしたいこと
- 今のお口の状態
- 気をつけたいポイント
- ご自宅でのケアを少し楽にする工夫
- 将来のリスクを減らすための考え方
私は、患者様に
「ちゃんとできていないと怒られそう」
と思ってほしくありません。
むしろ、
「ここに来ると今の状態が分かって安心できる」
「自分に合ったやり方を教えてもらえる」
そんなふうに感じていただける場所でありたいと思っています。
メインテナンスはどれくらいの頻度で受けるとよいですか?
通院間隔は一人ひとり異なりますが、一般的な目安は次のとおりです。
| お口の状態 | 通院間隔の目安 | 私の考え方 |
|---|---|---|
| むし歯治療後で歯ぐきが安定している | 3~4か月に1回程度 | 安定していても、変化を見逃さないことが大切です |
| 歯周病治療後 | 3か月前後 | 細菌が12〜16週で戻る傾向があるため、定期管理が重要です |
| 再発リスクが高い、セルフケアが難しい | 1〜3か月程度 | より短い間隔で守ったほうがよい場合があります |
※実際には、歯周病の状態、磨き残しの傾向、生活習慣、全身状態などをみながら調整します。
私は、メインテナンスの頻度は「多い・少ない」で考えるものではなく、
その方のお口をいちばん守りやすい間隔を一緒に見つけるものだと思っています。
私が、こんな方にメインテナンスをおすすめしたいと思うのは
- 歯周病の治療を受けたことがある方
- むし歯を繰り返したくない方
- 詰め物や被せ物が多い方
- 歯並びの関係で磨きにくい場所がある方
- これからも自分の歯で食事を楽しみたい方
- 痛くなってからではなく、悪くなる前に通いたい方
私は特に、
「もう同じところを何度も治療したくない」
とおっしゃる患者様に、メインテナンスの大切さを強くお伝えしたいです。
そのお気持ちは、とてもよく分かるからです。
だからこそ、治療を繰り返さないための通院へと切り替えていくことが大切だと思っています。
歯のメインテナンスを考えている方へ、院長としてお伝えしたいこと
私は、歯科医院は「痛みが出たときだけ行く場所」ではなく、
これから先の健康を守るために通う場所でもあってほしいと思っています。
治療が終わったあとに、
「もう悪くならないようにしたい」
「今の状態を少しでも長く保ちたい」
そう感じていただけたなら、それはとても大切な気持ちです。
そのお気持ちに、私は歯科医師としてしっかり応えたいと思っています。
谷山ファミリー歯科クリニックでのメインテナンスが、
患者様にとって
「また悪くなるのでは」という不安を減らし、
「これなら安心して過ごせる」という自信につながる時間になれば、こんなにうれしいことはありません。
よくある質問(FAQ)
Q: 痛みがなくてもメインテナンスに通ったほうがよいですか?
A: はい。私は、痛みがない時期こそ大切だと考えています。歯周病や初期むし歯は自覚症状が少ないまま進むことがあるため、症状がないうちに確認することが歯を守る近道です。
Q: メインテナンスでは毎回どんなことをしますか?
A: お口の状態に応じて異なりますが、歯ぐきの確認、専門的クリーニング、磨き方の見直し、必要に応じたフッ素塗布などを行います。単なるお掃除ではなく、今後の再発予防のための時間です。
Q: 初期むし歯は本当に削らずに済むことがありますか?
A: はい、あります。歯に穴が開いていない初期段階であれば、再石灰化や経過観察で対応できる場合があります。だからこそ、早めに気づける定期的なチェックが大切です。
まとめ
私は、メインテナンスは「治療が終わった人が受けるおまけ」ではなく、
これから先も自分の歯で食べ、話し、笑っていただくために欠かせない大切な医療だと考えています。
治療が終わったその日から、
お口の健康を守る新しいスタートが始まります。
「これからは悪くなる前に通いたい」
「将来のために歯を守っていきたい」
そうお考えの方は、かかりつけの歯科医院でのメインテナンスを考えてみてください。
私ども、谷山ファミリー歯科クリニックでは患者様のお口の健康を長く支えていけるよう、
丁寧にお手伝いしてまいります。



















